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もう何年も僕のパーソナルトレーナーをやってくれてるモッチー。
どちらかというともうパーソナルトレーニングという枠を超えてお互いに鍛えあってるトレーニンングバディ。毎週火曜日の夕方、自重のみの地味なトレーニングでオールアウトするまで追い込んだ後、ひたすら
ミット＆
マスボクシング。一緒に流した汗はトータルで25mプールくらい余裕で満杯にできます。
そんな彼から年末爆弾発言が。
「今度恵比寿に新しくできるジムの総支配人に抜擢されたので、年明けからもう目黒で一緒にトレーニングをできない」と。
もちろんモッチーにとってはキャリア的にステップアップになり良い事なのだけど、それを即座におめでとうと言えるほど人間ができていない僕は「いったい来週から誰とトレーニングすればいいんだ？」と別れを告げられた恋人のように攻めます。
阿吽の呼吸でいままで何年も一緒にトレーニングを毎週してたので、いまさら新しいパートナー見つけるのも大変だし、どうしてくれるんだ、と。
まあ、一通り攻めてしばらくして落ち着いてからやっと「おめでとう！すごい重要なポジションでやりがいもあるし良かったね」とやっと大人の会話ができる状態に。
そしてさらに「新しく作るジムってどんなジム？」と聞いたところどうやら、
新ジムは
１、ダイエットに特化した女性向けのジムで
２、DNA解析によりパーソナライズされた運動と食事のメニューができて
３、ミラーボールが設置してあるダンスフロアーのようなホットスタジオ
４、ひたすらダンス的な有酸素運動をメインにおこなう。
？？
一つ一つの要素はすごくいいけど、それを全部いっぺんに言われると全体像がぼやけてなんのことかわからなくなる。
プロモーションや広告を打つ時には情報を整理して伝える事が必要になるんだろうな、と職業柄思ってしまう。
とくに恵比寿はフィットネスジムやヨガの激戦区。
きちんとジムをブランド化しコアコンピタンツをターゲット層に届く言葉でわかりやすく伝える手法をとらないと埋没してしまう。
せっかく面白そうな要素がちりばめられたこのジムを成功させるためには、、、僕がディレクションするしかないのではないか？
そうおせっかいにも思って勝手にネーミングを考え、ブランディングやポジショニング等のマーケティングプランを練る。そしてネーミングも方向性もだいたい決まっているにも関わらず、モッチーに無理矢理社長にアポをとってもらい、プレゼンする機会を得ました。
Entrance design
まず、ネーミング。
どうやら先方はネーミングに「ダイエット」という言葉をわかりやすく入れたいらしいが、ターゲット層であるミドルアッパーな女性が「ダイエットなんとか」というちょっと負けを認めた感があるうえ 楽しげな感じもしない名前を受け入れるとは思えない。とはいえクライアントの意向も尊重しないといけないので考えたのが、
「D.S.MERMAID」(DSはダイエットスタジオの略）
ダイエットしなきゃ！っていうneedsを煽るより、楽しく奇麗にマーメイドのようになりましょうっていうwantsを満たす方向性。マーメイドっていう言葉の響きもいいし。
コアコンピタンツである「遺伝子解析による自分にぴったりなダイエット方法」を全面にアピールしてもターゲットである女性にはちょっと響きづらい。というのも「遺伝子解析による」という言葉は「女子脳」に引っかかりずらい言葉。
そもそも遺伝子が何かをきちんと説明できる人もすくないので、遺伝子とはなんぞや？そしてそれを解析したからどうなんねん？っていう説明をきちんとしなければいけないのだが、問題はここ。
いきなりその説明をされてきちんと聞く姿勢のあるようなストイックな人はすでにフィットしていてダイエットが必要ない人がおおい。
なので「痩せなきゃ」っていうneedsに論理的につけこむより、ダンススタジオっていう位置づけで「楽しい」「ワクワク」という要素を出したほうが「女子脳」にリーチしやすい。
リサーチしたところ恵比寿には大小含めフィットネスジムやヨガスタジオが２０件以上あります。そのほとんどのウェブサイトやエントランス、スタジオの雰囲気は大同小異こそあれほぼ同じ。
「明るく」「健康的な」「白っぽい落ち着いたナチュラルトーン」。
同じようなトーン＆マナーにしても差別化されないので、D.S.Mermaidは全て逆張りの「落ち着いたトーン」「モダンなゴージャス」にしてエントランスや内装を「まるでラウンジのような」「ジムに見えないジム」を演出していこうかなと。
そうするとダンスフロアのようなスタジオと相まって、「痩せる為の施設」から「大人がオシャレにハジけられる」ステイタス感のあるスタジオになっていくので。
Key visual idea
そしてポスターやチラシにもよくある「入会金無料！」とか「キレイに痩せる！」とか一切になしに楽しげなダンススタジオの様子をアピールするビジュアルで展開。
興味の入り口を「ダンス」「ゴージャスなラウンジっぽい内装」というワクワク感あるキラキラする楽しげなものにして、ちなみに「DNA解析でその人にあったメニューをきちんと組むから楽しんでダンスしてるうちに絶対に痩せるよ」っていう順番でメッセージを浸透させる。
そんなプランをプレゼンしました。
（もちろんもっと詳細にわたり当日はプレゼンしてます）
プレゼンを終えると、腕を組みながら社長はしばらく考え込み、２〜３分の長ーい沈黙のあと満面の笑顔になり「最高なプランだ！これで行こう。是非よろしくお願いします！」
とは言わず、さくっとボツりました。
残念！
で、この間無事オープンしたこのジムのオープニングパーティーに行ってきましたが、素敵なジムになってました！是非みなさん体験しにいってみてください。
遺伝子解析ダイエットd_studio 恵比寿
今回は残念だったけど、トレーニングする空間をプロデュースするのはものすごく楽しそう。ジムのトータルデザインとかの案件来ないかな？
「あっそういえば今度ジムを出店しようと思ってたんだよね」っていう方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡ください。最高のジム作りますよ。
